リスキリング研修の進め方とは?必要性やメリット、成功するためのポイントを解説
こんにちは。「TECH PLAY ACADEMY」ライターチームです。
近年、働き方改革や新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響によって、個人に求められるスキルは変わりつつあります。企業は、時代の変化に対応できる人材を育成する必要があるでしょう。そこで注目を集めているのが、リスキリング研修です。この記事では、リスキリングの定義や導入の必要性、メリット、リスキリング研修の手順などを解説するため、ぜひ参考にしてください。
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目次
リスキリング研修とは何か
リスキリング研修とはどのようなものかを知るために、まずは定義を解説します。
リスキリング研修とはどのようなもの?
リスキリング(Reskilling)とは、個人のスキルアップを目的とした学び直しのことです。リスキリング研修は、リスキリングを実現するために企業が自社の従業員に対して行う教育のことをいいます。リスキリング研修の対象になるのは従業員だけでなく、マネージャー以上の中間管理職や経営層の役員なども含まれます。
リカレント教育・アンラーニングとの違い
リスキリング研修のほかにも、リカレント教育やアンラーニングと呼ばれる用語があります。それぞれの違いを解説します。
リスキリングとリカレント教育との違い
リカレント(recurrent)教育とは、「就労」と「学び」を交互に繰り返す教育システムのことです。リカレント教育に掲げられている理念は、学校教育を分散させて生涯にわたって学習させることにあります。一方で、リスキリングは職に就きながら学び直しができるため、学習のために仕事を辞める必要はありません。
リスキリングとアンラーニングとの違い
アンラーニングとは、不要なスキルを捨てて、今後必要とされる知識やスキルを学ぶことです。一般的に、「学習棄却」や「学びほぐし」とも呼ばれています。取捨選択するのは知識やスキルだけではありません。時代の変化によって古くなった価値観を捨て去ることも含まれます。一方で、リスキリングは既存のスキルは捨てずに、新しいスキルを学ぶことを意味します。
なぜリスキリングが必要なのか
企業にリスキリングが必要とされる理由を以下で解説します。主な理由は、3つあります。
DX推進の浸透
DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語で、デジタル技術を活用して人々の生活を豊かにするという概念のことです。日本でも、政府主導のもとで企業のDX化が推進されているものの、欧米諸国に比べてDXが進んでいません。DXが進まない原因の1つに、DX人材の不足が挙げられています。
働き方の変化
新型コロナウイルス感染症が流行したことで、日本でも働き方が大きく変化しました。例えば、自宅やコワーキングスペースで仕事ができるテレワークを導入する、Web会議システムを活用して対面で行う業務をオンラインで対応する、などの企業も増えています。働き方がデジタル化するにつれて、リスキリングの必要性が高まっています。
労働力の不足
デジタル技術は進化を続けていますが、先述したようにデジタル人材は不足しています。経済産業省の「IT 人材需給に関する調査 調査報告書」によると、2030年には最大79万人程度のIT人材が不足すると予測されています。リスキリングの導入によってDX人材を増やすことができれば、企業の体制を整備できるでしょう。
リスキリングに関する宣言
2020年1月に行われた「世界経済フォーラム(WEF)」の年次総会で、「2030年までに10億人をリスキリングする」といった宣言がなされ、日本でも注目を集めました。
2022年10月には、岸田文雄首相が「日経リスキリングサミット」に出席し、「人への公的支援として、現行の3年で4,000億円から5年で1兆円に拡充する」と発表しました。人的投資の大幅な拡充によって、企業におけるリスキリングを推進する流れはさらに拡大していくでしょう。
※参考:岸田首相の「日経リスキリングサミット」での発言要旨|日本経済新聞
リスキリング研修のメリット
リスキリング研修を導入した場合、企業はどのようなメリットが得られるのかを以下で解説します。
業務効率化につながる
リスキリング研修を導入することで自社のDX化が進み、業務の自動化が実現されれば業務効率化につながります。従業員が雑務に割く時間が減り、余った時間をより重要な業務に活かすことで、個人のパフォーマンスの向上を期待できます。結果的に、個人のパフォーマンスの向上によって、会社全体の生産性を高められるでしょう。
新しいアイデアが生まれやすい
リスキリング研修で従業員が新しいスキルを習得することで、これまで思い浮かばなかった新しいアイデアが生まれやすくなります。新たな視点で生まれたアイデアは、事業停滞の防止に有効です。従業員に今後必要になるスキルを身につけさせることで、法令の改正にも柔軟に対応できるうえに、適応性の高い戦略を検討できるでしょう。
企業文化が維持できる
リスキリング研修を行うことで、新たに人材を採用する必要がありません。新しいスキルを習得した既存の人材を活用できるため、企業における独自の文化を守ることにもつながります。人材が頻繁に入れ替わる心配がなく、自社の企業文化をよく理解した人材を活用して事業を進めることができ、自社の強みを活かした戦略を立てられます。
人材の有効活用
自社に不足する人材を外部から採用する方法もありますが、労働人口の減少によって希望の人材を採用することが難しくなっています。自社でリスキリング研修を行うことで、既存の人材を有効に活用できるため、採用コストの削減も可能です。また、新入社員を1から教育する手間や時間もかけずに、社内の戦力の底上げができます。
リスキリング研修の進め方
リスキリング研修を進める手順を以下の5つにまとめました。それぞれの手順を解説します。
自社の課題を見つける
リスキリング研修の前に、まずは自社でどのような課題があるのかを明確にします。課題を見つけるためには、既存の従業員が保有するスキルをヒアリングし、現状を把握することから始めましょう。既存の従業員が保有しておらず、今後必要とされるスキルの洗い出しを行い、リスキリング研修で習得すべきスキルを絞り込みます。
リスキリング研修の対象者を決める
次のステップで研修内容を検討しやすくするために、リスキリング研修の参加者を決めておきます。参加者は、まず対象者を絞って決めていき、徐々に対象範囲を広げることがポイントです。最初から大人数を対象にするよりも、対象範囲を絞って小さく始める方が全体のスキルの底上げにつながります。スキルの向上に偏りを出さないためにも、リスキリングの対象者を定期的に変えましょう。
リスキリング研修の検討
リスキリング研修の対象者の絞り込みが終わったら、コンテンツや研修で使用する教材、実施方法などの詳細を検討します。コンテンツの主な例は、次のとおりです。
・プログラミング
・コンピューターサイエンス(アルゴリズム、データの構造・配列など)
・クラウドサービスの活用方法 など
リスキリング研修の講師を依頼できる人材が社内にいない場合は、外部の研修サービスを利用するのも1つの方法です。
現場での実践
リスキリング研修の実施後は、習得したスキルを現場で実践できる仕組みや体制を整備することも大切です。研修後も継続してスキルを活用することで、リスキリング研修の効果検証を行えます。リスキリング研修を最適化していくためには、社内でヒアリングを実施して問題点の把握や改善につなげましょう。
リスキリングの人事反映
リスキリングで習得したスキルを現場で実践するだけで終わらせず、人事評価制度に結びつけましょう。人事評価制度の見直しによって、果敢にチャレンジする従業員が評価される企業文化を作ることができます。人事評価に加えて、インセンティブと関連づけることで、従業員のモチベーションの向上も目指せます。
リスキリング研修の成功ポイント
リスキリング研修を成功させるための主なポイントは3つあります。それぞれのポイントを解説します。
社内の協力を得る
リスキリング研修を成功させるためには、社内の協力が欠かせません。リスキリングへの理解や協力体制を整備しておきましょう。社内の協力を得る方法として、海外事例の紹介が役立ちます。実際の成功事例を紹介することで、従業員の納得感を得やすくなるでしょう。従業員が新しいスキルの獲得に積極性が出れば、リスキリング研修を成功へ導きやすくなります。
従業員の意欲アップ
リスキリング研修の成功は、研修後も取り組みが継続されることにあります。しかし、継続的に取り組むためには、従業員のリスキリングに対する意欲を高めることが大切です。従業員の意欲を向上させる方法として、従業員同士が切磋琢磨できる環境を整えることをおすすめします。また、一時的なモチベーションを上げるだけでなく、高まった意欲を維持できるような仕組みを作りましょう。
自社に合ったリスキリング研修を実施
リスキリング研修のコンテンツや教材の内容は、自社の課題や実施する目的に合わせて検討しましょう。リスキリング研修を適切な手順で進めることができても、習得できるスキルが自社の今後につながらないものの場合、研修や準備にかけた時間や労力が無駄になってしまいます。リスキリング研修は、自社の課題を解決に導くスキルの習得を目的にした内容を実施しましょう。
まとめ
リスキリングは、自社の従業員を対象にスキルの向上を目的に行う学び直しのことです。政府が推進するDX化を自社で実現するためには、リスキリング研修を実施して社内のスキルの底上げを行う必要があります。自社に講師を依頼できる人材がいない場合は、外部の研修サービスを利用しましょう。
パーソルイノベーションが提供する「TECH PLAY Academy」では、企業にあわせたオーダーメイドの研修で、リスキリングを支援しています。
未経験からでも3ヶ月で即戦力を目指せる「ITエンジニア研修」と、DXリーダーを育成する「DX人材研修」の2つを提供。どちらも企業の目的に合わせた完全オーダーメイドでの研修提供し実務での成果につなげます。
また、DXの第一線で活躍する業界著名人に研修を担当してもらうことも可能です。
外部研修を活用したリスキリングに興味のある方は、下記よりぜひお問い合わせください。
この記事を書いた人
TECH PLAY BUSINESS
パーソルイノベーション株式会社が運営するTECH PLAY。約23万人※のテクノロジー人材を会員にもつITイベント情報サービスの運営、テクノロジー関連イベントの企画立案、法人向けDX人材・エンジニア育成支援サービスです。テクノロジー人材のエンパワーメントと企業のDX化の成功をサポートします。※2023年5月時点
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