企業のリスキリング導入事例を紹介!注目される理由やポイントを解説

人材育成 2023.11.24

こんにちは。「TECH PLAY ACADEMY」ライターチームです。

従業員の再教育の1つである「リスキリング」を取り入れる企業が、近年増えつつあります。しかし実際に自社でリスキリングを導入する際には、どのような点に注意するとよいのでしょうか。

この記事では企業のリスキリング導入事例や、成功のポイントなどを解説します。自社でリスキリングの導入を検討している人や、他企業の事例を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

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リスキリングの定義とは

そもそもリスキリングとは何なのでしょうか。以下で用語の定義を解説します。

リスキリングとは何か?

リスキリング(Reskilling)とは、社会の変化に合わせて新たなスキルを獲得する取り組みを指します。2020年1月、「世界経済フォーラム(WEF)」の年次総会で、「2030年までに全世界で10億人をリスキリングする」と宣言したことで、世界的にも注目度が高まっている概念です。

近年では特に、デジタル化とともに生まれる新しい職業や、仕事の進め方が変わる可能性のある職業に就くためのスキル習得を目指すケースが増えています。

※参考:リスキリングをめぐる内外の状況について|厚生労働省

リスキリングが注目される理由

なぜこれほどまでにリスキリングが注目を集めているのでしょうか。以下で理由を解説します。

なぜリスキリングが注目されるのか

欧米の有名企業では、以前からリスキリングの概念を取り入れてきました。現在もさまざまなツールを提供し、従業員のキャリア開発やスキル習得を支援しています。

近年ではコロナ禍による働き方の変化によって、顧客や取引先とのやりとりがオンラインへと移行し、新たに身につけるべきスキルが出てきたことで、リスキリングがさらに注目を集めるようになりました。日本でも、時代の流れに対応する形で、リスキリングに取り組む企業が増えつつあります。

リスキリングによる企業のメリット

リスキリングの導入は企業にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを2つ解説します。

業務の効率アップ

1つ目のメリットは業務効率がアップする点です。ITスキルが身につけば、業務の自動化を進められます。フローの改善やビッグデータの取り扱い、正確なデータ分析、データの一元管理による効率的な情報共有の実現など、リスキリングの導入には多くのメリットがあります。従業員の雑務の負担が減れば、注力したいコア業務に集中できるようになるでしょう。

採用・育成のコスト節約

2つ目のメリットは、採用・育成のコストを節約できる点です。業務に必要なスキルを保有した人材の採用には、大きなコストがかかります。しかし、すでにいる従業員を育成できれば、新規採用の必要はありません。社内の業務内容や方針などに関し、最初から教育し直すコストをかけることなく、従業員を新しい事業のために戦力化できます。

企業がリスキリングに取り組む手順

自社でリスキリングを導入する際、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。主な3つの手順を解説します。

必要なスキルの明確化

まず、自社課題の解決につながるスキルを洗い出します。例えば自社の外部要因や環境変化を以下の点から検討し、分析してみましょう。

  • 自社の事業内容
  • 自社の機会
  • 自社にとっての脅威 など

検討の際には現在だけでなく、将来的に必要となるスキルの想定が重要です。新しく身につけるスキルが将来的にどのようなメリットをもたらすかを明らかにします。

リスキリング研修の実施

必要なスキルが明らかになったら、次はどのようなリスキリング研修を実施するか検討します。研修期間や目的達成までのステップ、eラーニング、外部研修というような手段などを吟味し、スキルに合った教育方法を採用しましょう。

研修は継続して学べるようなプログラムになるよう、組み立てることが重要になります。リスキリング研修については、外部委託を活用するのも1つの手です。

現場でのスキル実践

各従業員に対して、それぞれ対象となるものを学んだ後は、いよいよ現場でのスキル実践に進みます。リスキリングではスキルを習得して終わりではなく、現場で学んだスキルを実践することが大切です。現場でスキルを活用し、業務に役立てることは、新たな気づきにつながります。定期的にフィードバックの機会を設け、改善点を探しましょう。

企業でリスキリングを成功させるポイント

企業でリスキリングを成功させるには、どのような点に配慮すべきなのでしょうか。特に大切な2つのポイントを解説します。

社内での協力を得る

1つ目のポイントは、社内での協力を得ることです。経営陣や管理職、従業員など、さまざまな層から理解を得られれば、スムーズな取り組みが実現します。自社で求められている人材要件をまず明確にし、なぜ自社でリスキリングが今、必要なのか理解してもらうことが大切です。

リスキリングに成功したら、従業員をどの部署に配属させるかという組織体制も、あらかじめ整えておくとよいでしょう。

リスキリングの導入事例を知る

2つ目のポイントは、リスキリングの導入事例を知ることです。海外では以前からリスキリングが積極的に取り入れられています。

例えば、以下の点を踏まえながら、導入事例を参考にします。

  • リスキリングの導入背景
  • 取り組み内容
  • 結果として、どのようなメリットがあったか

近年では、日本でもリスキリングに取り組む企業が増えてきており、過去の事例として参考にできるでしょう。

企業のリスキリング導入事例

各企業はどのようにして、リスキリングを導入しているのでしょうか。代表的な導入事例を八つ紹介します。

Amazon.com, Incの事例

世界でEC事業を展開しているAmazon.com, Incは、2025年までに、アメリカの従業員10万人をリスキリングすると発表しました。データマッピングスペシャリストやデータサイエンティスト、ビジネスアナリストなどの高度なスキルをもつ人材を育成中です。

具体的には、非技術系人材を技術系人材にする「アマゾン・テクニカル・アカデミー」や、ITエンジニアにAIの高度スキル獲得させる、「マシン・ラーニング・ユニバーシティ」に取り組んでいます。

※参考:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―|経済産業省

Walmart Inc.の事例

世界最大規模といわれるスーパーマーケットチェーンWalmart Inc.は、従業員がDXに対応できるよう、テクノロジーを使って支援しています。

例えば、バーチャルリアリティ(VR)を用いた社内研修では、実際の業務経験が少ない従業員が、店舗にいながらブラックフライデーのようなレアイベントや、災害対応などの疑似経験を積むことが可能です。また、ネット注文商品を店頭で受け取るための専用機械「ピックアップタワー」を新たに店舗に導入する際にも、VRを用いて事前学習として活用できます。

※参考:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―|経済産業省

AT&T Inc.の事例

世界最大級の電気通信事業者AT&T Inc.は、2020年までに10億ドルかけて10万人リスキリングすることを目的とし、以下の4つの取り組みをしました。

  • リスキリング促進のための環境整備
  • 従業員のキャリア開発支援ツール「キャリアインテリジェンス」の提供
  • オンライン訓練コースの開発と、従業員への提供
  • 従業員のためのワンストップ学習プラットフォーム「パーソナル・ラーニング・エクスペリエンス」の提供

※参考:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―|経済産業省

富士通株式会社の事例

データベース事業とWebソリューション事業などを行う富士通株式会社は、DX企業へと抜本的に改革するために、5年間で5,000~6,000億円の巨額投資を発表しました。

富士通株式会社の連結子会社、株式会社富士通ラーニングメディアでは、急速なDX化による人材不足や、ビジネス環境の大きな変化に対応できる人材を育成するための事業を展開中です。社外向けにDX分野のリスキリングに関するコースを新規開設し、DXリテラシーや実践ワークショップなど取り組んでいます。

※参考:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―|経済産業省

株式会社日立製作所の事例

日本の大手電機メーカー、株式会社日立製作所はデジタル対応力をもつ人材の強化に重点をおき、リスキリングに取り組みました。

例えば「デジタルリテラシーエクササイズ」では、国内グループ企業の全従業員、16万人を対象にDX基礎教育を実施しました。エクササイズ内では、DXの基本的概念の理解や課題発見のトレーニング、課題解決の手順、問題解決の実行などを段階的に学んでいきながら、戦略的にDX人材の育成を推進しています。

※参考:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―|経済産業省

丸紅株式会社の事例

総合商社の丸紅株式会社では、デジタル人財基盤とIT基盤を構築しながら、リスキリングを通したDX戦略を推進中です。

2023年までに200人のデジタル人財を育成する目標を設定し、「丸紅デジタルチャレンジ(デジチャレ)」を実施しています。従業員自身がデジタルで解決できるテーマを集めてプログラムに応募し、Pythonやデータ分析、機械学習などに関する研修や、データサイエンティストによる個別フォローなどを受けられます。

※参考:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―|経済産業省

JFEスチール株式会社の事例

大手鉄鋼メーカーのJFEスチール株式会社は、2024年度末までに社内600人のデータサイエンティストを育成する目標を設定し、リスキリングを実施しています。

2020年7月には「JFE Digital Transformation Center」を開設し、各製鉄所や製造所の操業データをまとめて活用できる環境を整備しました。2021年には経済産業省・株式会社東京証券取引所が共同選定する「DX銘柄」にJFEホールディングス株式会社の鉄鋼事業の優れた取り組みとして選定されています。

※参考:デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021|経済産業省・株式会社東京証券取引所

トラスコ中山株式会社の事例

プロツール(工場用副資材)卸売企業のトラスコ中山株式会社は「次世代リーダー候補の研修」を実施。他社のシステムベンダーと協力し、デジタル技術を活用した新規のビジネスを創出し、すぐに現場で実践できるカリキュラムを実施しました。

また先回りで在庫管理できる「MROストッカー」では、最新IT技術と高度なデータ分析を利用できるイノベーションを創出しました。取り組みが評価され、経済産業省・株式会社東京証券取引所が共同選定する「DX銘柄」に2020年、2021年と2年連続選定されています。

※参考:デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020|経済産業省・株式会社東京証券取引所
※参考:デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021|経済産業省・株式会社東京証券取引所

まとめ

コロナ禍による働き方の変化によって、リスキリングを取り入れる企業が増えつつあります。スムーズな導入には、社内での協力獲得や他企業の導入事例の理解がポイントです。

TECH PLAYは、24万人以上のデジタル人材が登録するプラットフォームと、1,000名以上の外部プロ人材とのネットワークを活用し、企業のDX化を支援しています。
リスキリングに関する主なサービスのは「エンジニア研修」「DX人材研修」の2つですが、どちらも企業の目的に合わせた完全オーダーメイドでの研修提供が可能です。DXの最前線で活躍する業界著名人に研修を担当してもらうこともできます。
少しでも興味をお持ちいただけたら、下記よりぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

TECH PLAY BUSINESS

パーソルイノベーション株式会社が運営するTECH PLAY。約23万人※のテクノロジー人材を会員にもつITイベント情報サービスの運営、テクノロジー関連イベントの企画立案、法人向けDX人材・エンジニア育成支援サービスです。テクノロジー人材のエンパワーメントと企業のDX化の成功をサポートします。※2023年5月時点

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