IT人材の自社育成の事例5選!企業事例からみる人材育成のコツと注意点とは

人材育成 2023.11.28

こんにちは。「TECH PLAY ACADEMY」ライターチームです。

DX化の高まりが進む中、IT企業のみならず、事業会社をはじめとした様々な企業でIT人材の必要性が高まっています。
その需要の高まりから、採用市場でのIT人材の競争率は高く、優秀な人材の確保が難しいのが現状です。これまで社内のケイパビリティを拡大する方法としては採用が主流でしたが、競争の加熱に伴い自社人材の育成に力を入れる企業も増えてきました。

この記事では、IT人材の社内育成について、企業事例と育成のコツや注意点などについて解説します。

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DX化の加速でIT人材の不足が深刻化

世界的にIT技術やオンラインの重要性が高まっていることから、日本でも国をあげてDX化が推進されています。そのため、積極的にIT技術を導入する企業が増加しており、活用や運用のためにIT人材の需要も高まっています。

しかし、IT人材はその需要に対して人材が不足しており、企業はなかなか採用できないのが現状です。また、労働人口の減少によって、今後もさらに人材不足の深刻化が予想されています。そこで多くの企業は、採用によって確保するよりも、社内でのIT人材の育成の取り組むようになりました。

IT人材の役割と必要なスキルとは

そもそもIT人材とは、IT技術に関する知識を活用して、企業のシステム導入や運用にかかわる人材のことを指します。DXを推進する企業にとって欠かせない存在です。

IT人材は、ITに関する知識やスキルはもちろん、社内のシステム導入の推進や実施、運用のためには、関連部門との連携も必要になるため、コミュニケーション能力も求められます。さらに、課題やその解決策を導き出す思考力も大事です。

IT人材を自社で育成するメリット

IT人材を自社で育成する場合、主に以下の2つのメリットが挙げられます。

自社に合ったDX化やシステム構築に役立つ

自社事業の特性や業務内容を把握・理解した人材を育成すれば、より自社に適したシステム導入や運用ができるようになります。社内事情に理解のある人材であれば、改善すべき課題や自社に必要なIT技術を把握しやすいため、より自社に適した企画の立案やシステム開発ができ、効果的なDX化が可能になるでしょう。

システムに一貫性を持たせられる

IT人材を社外から派遣したり採用したりする場合、ベンダーや過去の職場ごとにスキルや考え方に差があり、IT人材間で技術力の差が出てしまう可能性があります。そのため、意思疎通が困難になり、システムに一貫性が失くなってしまうリスクが発生します。

一方、社内育成したIT人材で対応できれば、企画から運用まで社内人材のみで実施できるため、一貫性を持たせたシステム構築が可能です。

IT人材の育成に取り組む企業事例5選

実際に、IT人材の育成に取り組んでいる企業は多くあります。ここからは、大手企業のなかから特にIT人材の育成に取り組む企業事例を5件紹介します。

1.ソフトバンク株式会社

携帯電話などで有名なソフトバンク株式会社では、2017年にDX本部を設立し、IT人材の育成に力を入れています。DX本部の設立当初には、営業部門や企画部門から人材を選定し、120名に研修を実施しました。

また、DX化に必要な人材を明確化するために、「事業プロデューサー制度」を設置。育成成果の可視化や、IT人材に必要なスキルの追及とさらなる研修によって、自社に必要なIT人材を生み出しています。

2.ダイキン工業株式会社

空調企業のダイキン工業株式会社は、2017年に「ダイキン情報技術大学(DICT)」という社内講座を創設し、2023年までに約1,500人の育成を目指しています。講座では、新入社員向けの基礎的な知識から、選抜人材向けのレベルの高い知識まで幅広く学習できるようになっています。

これまでに、約100名の新入社員が2年間に渡って、講座での学習に専念できる環境をつくるなど、企業全体で中長期的なIT人材の育成に力を入れています。

3.みずほフィナンシャルグループ

みずほ銀行などの親会社であるみずほフィナンシャルグループは、全社的にデジタルリテラシーの向上を目指し、デジタルイノベーション部を創設しました。

従業員のデジタルリテラシーを、覚醒段階、基礎知識習得段階、実践段階の3段階に分け、段階に応じたオンライン学習やOJTを実施する形です。各従業員のレベルに合わせた効率的な育成に取り組んでいます。

4.日清食品ホールディングス

食品会社の日清食品ホールディングスは、全従業員のデジタルスキルを向上させるために、システム構築を内部で実施できる組織体制を整えています。ノーコードでアプリ開発が可能な「ローコード開発ツール」の採用によって、各部門で必要なアプリケーションの開発ができるように環境整備しました。

また、実際にアプリケーションの開発から実用化まで携わることで、成功体験を蓄積させ、人材育成とDX化を同時に推進しています。

5.キリンホールディングス

ビール会社でおなじみのキリンホールディングスでは、独自の育成プログラムとして「キリンDX道場」を開校しています。全従業員を対象としており、デジタルリテラシー向上を目指して育成に取り組んでいます。

キリンDX道場では、白帯、黒帯、師範の順にレベルに合ったスキルの取得が可能となっており、効率的な人材育成の仕組みを実現しました。特に「ビジネスアーキテクト」として活躍できる人材の育成に力を入れており、2024年までに1,500人の育成を目指しています。

事例から見るIT人材育成のポイント

前項で紹介した企業事例から、IT人材育成を成功させるにはどんな点に注意すればいいのかについて、2つのポイントにまとめて解説します。

企業の積極的なリスキリングが必要

企業がビジネスの変化に伴い、必要とされるスキルや知識の獲得を従業員に促進することを、「リスキリング」と言います。DX化を進めるだけでなく、IT技術を活用していくためのスキルや知識を教育できる環境も整えることが大事です。

リスキリングのためには、IT人材に必要なスキルや知識を学ぶためのオンライン学習やセミナー、OJTなどを準備することが一般的です。業務やシステムによって必要なスキルや知識は異なるため、それぞれに応じたリスキリングを実施する必要があります。

IT人材に求められるマインドセットの把握

IT人材には、スキルや知識だけでなく、適性のあるマインドセットを持っているかも重要です。具体的には、「変革を恐れずに挑戦できる」、「課題解決のために柔軟な発想で解決策を導きだそうとする」、「失敗を恐れない」などのマインドセットがあることが望ましいでしょう。

IT人材の育成では、すでにマインドセットが近い人材を選定するか、リスキリングによって必要なマインドセットを落とし込むと、成果につながりやすくなります。

自社でIT人材を育成する手順

実際に自社でIT人材の育成を始めるなら、まずは正しい手順の把握が大事です。ここからは、IT人材の育成手順について順を追って解説します。

育成ゴールの設定

自社が欲しいIT人材を育てるためには、まずはどんな人材に育てたいのか、ゴールを設定します。自社の課題や今後の展望を考慮し、どんなIT人材に活躍してもらいたいのかをしっかり検討し、育成ゴールを設定しましょう。

適正人材の選定

自社で設定した育成ゴールと、IT人材に必要なスキルやマインドセットを参考に、適性のある人材を選定します。特に全社的なDXの推進に取り組むなら、部門を限定するのではなく、幅広い層から人材を絞り込むことが大事です。

例えば、DXをけん引するリーダー的な存在を育てたいなら、コミュニケーション能力やリーダーシップのある人材や、業務に対する探究心や問題の解決に対する意識の高い人材を選定するとよいでしょう。

対象者のレベル把握

育成の対象者を選んだら、効率的なリスキリングを実施するためにも、個々のレベルを把握する必要があります。現状レベルと育成のゴールを比較し、段階的に育成施策を検討しましょう。

IT人材として必要なスキルやマインドセットの学習

座学やオンライン学習などによるリスキリングを実施します。専門知識のある外部講師を招くのも効果的です。リスキリングでは、自社の業務を変革するためにどんなスキルが必要なのか検討し、的確な学習環境を整える必要があります。

IT技術に関するスキルや知識だけでなく、適性を磨くためのマインドセットを学ぶ研修やセミナーも取り入れるとよいでしょう。

OJTによる実務経験の蓄積

育成中は、座学などで勉強するだけではなく、実務経験を積むことで、学んだスキルや知識が身につきやすくなります。そのため、育成中の人材にはOJTとして実際に小規模なプロジェクトに参加してもらう、などを実施するとよいでしょう。

OJTによる実務への参加で、学んだスキルや知識を少しずつ発揮していくことで、IT人材としての能力や自信を高めていけます。

外部ネットワーク構築によるキャッチアップ

IT人材は、常に最新技術や最新情報を把握し、業務に反映させていく必要があります。そのため、社内だけにとどまらず、社外のセミナーや外部研修などに参加できる環境を整えておくのも大事です。

外部ネットワークを構築できれば、常に最新の情報をキャッチアップできるようになり、成果につながりやすくなります。

自社でIT人材を育成する場合の注意点

IT人材の育成に初めて取り組む場合や、あまり成果が出ないという場合には、以下の2つの注意点に気を付ける必要があります。

中長期的な計画を立てる必要がある

IT人材の育成には、中長期的な時間がかかります。そのため、まずは経営層からITに関する知識を高め、自社に見合う中長期的な戦略を立てることが大事です。

IT技術を取り入れることで、どのような変革がもたらされるか、それがどう役立つのかについて社内の理解を深めなければ、IT人材育成も思うように進みません。また、IT人材に必要なスキルや知識は多岐にわたるため、成果が出るまで約半年程度はかかるということを理解しておく必要があります。

成果の可視化と適切な評価も必要となる

IT人材の育成では、進捗や成果の可視化・共有が大事です。社内で進捗状況が共有されていると、他部門からのサポートが受けられやすくなります。例え育成中に失敗があっても寛容な環境をつくっておけるのもメリットです。

また、成果が可視化されれば、全社的なモチベーションが高まり、さらなるイノベーションにつながる可能性があります。失敗からは、新たなアイディアの創出も期待できるでしょう。

まとめ

自社でIT人材を育成するには、適切なリスキリングによるスキルや知識を向上させる仕組みが必要です。リスキリングを成功させるには、本記事で紹介した企業事例から見ても、自社に合った育成戦略が重要であることがわかります。

IT人材の育成が初めての企業で、育成戦略やリスキリングの方法で迷っている場合は、外部のサポートを利用する方法もあります。

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この記事を書いた人

TECH PLAY BUSINESS

パーソルイノベーション株式会社が運営するTECH PLAY。約23万人※のテクノロジー人材を会員にもつITイベント情報サービスの運営、テクノロジー関連イベントの企画立案、法人向けDX人材・エンジニア育成支援サービスです。テクノロジー人材のエンパワーメントと企業のDX化の成功をサポートします。※2023年5月時点

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